なかむらくん

近鉄中村紀洋内野手(30)が、05年のメジャー挑戦の決意を固めたことが21日、明らかになった。今シーズン終了後にも、球団に対しポスティングシステム(入札制度)での移籍を訴える。この日は業務提携するドジャースのベロビーチ・キャンプ(2月)に参加することが事実上、決定。オープン戦出場も視野に入れるなど、試金石としての米国上陸を果たした後は、アテネ五輪での金メダル獲得、さらに近鉄で悲願の日本一を果たし、02年12月に1度はついえた、夢のメジャーリーガーを目指す。
夢をあきらめてはいなかった。中村が、ポスティングシステムを使ってメジャー挑戦する意思を固めた。今シーズン終了後、球団に伝える。
同期のイチロー、新庄らメジャーで活躍する日本人選手に刺激を受け、FA宣言した02年オフ。いったんはメジャー挑戦を決意し、ニューヨーク・メッツ移籍も寸前だった。しかし周囲に断りを入れて筋を通す前に、米大ホームページに発表され憤慨。結局、梨田監督らの説得もあり「夢を考え直し」(中村)た末、涙ながらに近鉄残留という決断を下した。
再出発を誓って臨んだ昨年は、不完全燃焼に終わった。右ひざ痛に苦しみ、出場117試合で23本塁打、67打点、打率2割3分6厘。屈辱を味わったあげく、昨年10月17日には福岡市内の病院で右ひざ関節内側の半月板切除手術を受けた。
「オレはこのままでいいんか」。思うように動かない右ひざにいら立ちながら、自問自答する日々が続いた。昨オフには弟分としてかわいがってきた松井稼のメッツ移籍も決定。中村の中で、メジャー挑戦の夢が頭をもたげるのは自然のなりゆきだった。
メッツ移籍の夢がついえた後の昨年1月。中村は球団と契約を交わした。その内容は、夢を持ち続けられる余地を残していた。4年総額20億円超の複数年契約ながら、球団は将来のポスティング移籍に含みを持たせており、中村のメジャー挑戦の意志が固いとなれば認める可能性が高い。
中村はこの日、自主トレを兼ねて訪れた藤井寺球場で足高圭亮球団取締役(51)と会談。2月1日のキャンプインはチームとともに宮崎・日向で迎えるが、手術を受けた「足(右ひざ)が良くなれば」と前置きした上で、その後は2月のドジャースキャンプ(投・捕手19日開始、野手は24日開始)に参加する方針を固めた。メジャーのオープン戦出場にも前向きで「日本にもこういう選手がいる、ということもアピールできると思います」。温暖な地で右ひざの完治を急ぐとともに、中村にとっては今オフの移籍へ向けてメジャー関係者へのデモンストレーションという試金石の試合になりそうだ。
足高取締役との会談後は、自主トレに励んだ。約30メートルのダッシュ、キャッチボールで心地よい汗を流した。「直線なら80%で走れる」までに回復しており、今後は万全の状態での渡米を目指すことになる。アテネ五輪で金メダルをとり、近鉄を悲願の日本一に導いたあとに−。今度は中村が自らの夢を追い求めてメジャーへ飛び立つ。

近鉄の足高圭亮球団取締役は22日、中村紀洋内野手が今秋にポスティングシステム(入札制度)で米大リーグ移籍すると一部で報じられたことについて、「(一部の)新聞に書かれているようなことはない。移籍うんぬんはない」と否定した。
また、中村も広報を通じ、「僕自身ポスティングのポの字も言っていない。現時点でそういう(移籍の)ことは考えていない」とコメントした。

どうなんでしょうか。